先々月、Kindleストアのセールを覗いていたら何だか面白そうな題名の本がありました。
「ワセダ三畳青春記」
とても安くなっていたこともあって購入。
あまり期待せずに読み始めたらこれが面白い。
-紹介文-
“三畳一間、家賃月12000円。ワセダのぼろアパート野々村荘に入居した私はケッタイ極まる住人たちと、アイドル性豊かな大家のおば ちゃんに翻弄される。 一方、私も探検部の仲間と幻覚植物の人体実験をしたり、三味線屋台でひと儲けを企んだり。金と欲のバブル時代も、不況と失望の九〇年代にも気づかず、能天 気な日々を過ごしたバカ者たちのおかしくて、ちょっと切ない青春物語。”
本の内容はこの紹介文のままで、安さ極まるアパートに集まった、だいぶ変わった人たちとの共同生活物語。ちょっと中だるみを感じるところもありましたが、終始ニヤニヤしながら一気に読んでしまいました。
著者の高野秀行さんの肩書は辺境・探検・ノンフィクション 作家。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。
まったく存じませんでしたが、もうこれだけで惹きつけられますね。
著者は早稲田大学探検部なので様々なところへ出かけていきます。
しかしこの本ではアパートで起こったことを中心に書かれているので、話があちこち行かずに読みやすいです。
ちょっとネタバレになっちゃいますがとても好きな箇所があって、
探検部の仲間が「日本惰眠党」を結成して、人は寝すぎると疲れるからその疲れを利用してまた寝れば永久に寝られるのではないか、ということを実践しているシーン。
このくだりはもう大好きです。
登場人物たちが普通ではなく、親しみを込めて言えばアホで、真っ直ぐにぶっ飛んだことをしている。
この真っ直ぐにというところが大事で、ここが私がこの本を好きになった理由の一つでもあります。
著者は留年に留年を繰り返し、ようやく卒業した後もこのアパート住み続け、結局11年暮らします。
その11年の間には様々な出会いや別れの人間ドラマがあり、読み終わった時は少しセンチメンタルな気分になりました。
私が学生の頃、早稲田大学に知り合いが行っていたので、あの界隈によく遊びに行きました。
ストリートミュージシャンやストリートパフォーマーなどがいて、学生街ならではの雰囲気が好きでした。受験はツルンツルンに滑りましたが。
著者は私よりも上の世代の方なので、当時はまた雰囲気が違うのでしょうが、あの頃の街の匂いやざわめきを思い起こしながら読みました。
とても面白かったのでその他に刊行されている本、「幻獣ムベンベを追え」、「怪しいシンドバッド」、「異国トーキョー漂流記」、「世にも奇妙なマラソン大会」なども立て続けに買って読みました。
しかし今のところ私にはこの「ワセダ三畳青春記」が一番面白いです。
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満足度:★★★★★☆